【はじめに】
スタジオは、レコーディングエンジニアさんがいるスタジオで、一緒に検証してみました。
ただし、録音などはしないで、楽しみながら行った感じです。
検証用機材としては、
- YAMAHA PA
- GUITAR AMP
- MARSHALL JCM900+1960A
- ROLAND JC-120
- それぞれ、リターン挿とInput挿で検証。
ほぼ、比較するのが無意味なくらいの比較。
お値段
Line 6 ( ライン6 ) / Helix Stadium XL Floor. : ¥365,750(税込)
BOSS ( ボス ) / GX-1 Guitar Effects Processor:¥ 33,000(税込)
ほぼ、10倍の価格なので、比較するのが無謀です。
単純に、
「Helix Stadium XL Floorは音も操作性も最高だけど、重い!」ということを発端に、「軽量化した場合、どこまで我慢できるか?」という自分の中で確かめたかった感じです。
間(?)を挟まなかったのは、極端に違う機種で検証してみようとしたのでと
「GX-1で満足するなら、それはそれで良いのでは?」「経済的にも助かるし。。。」という、開き直りかもしれません。
【結果】
やはり、満足はできませんでした。
【ポイント】
- 音が顕著に違う。
- 操作性が悪い。
【印象】
操作性は、「スイッチが足りない」「小窓がない」など、物理的に判明できるので、音について。
【ポイント】
- GX-1だと、平坦な音に聴こえる。
- ギターのボリュームを絞った時に、歪み成分が下がってくれない。
- サステインが物足りない。
「BOSS特有の音(良くも悪くも実用的で、アンサンブルで抜けるがデジタル的な均一さがある)」と、「Helixの有機的でリアルな質感」の違いを体感したのですが、まさに価格差=プロセッサー(チップ)の演算能力と設計思想の差がダイレクトに現れた結果です。
具体的に、内部のチップや処理能力でどのような違いがあるのかを解説してみます。
1. 処理能力(DSP)の圧倒的な「物量」の差
マルチエフェクターの心臓部であるDSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)の処理能力が、両者では文字通り桁違いです。
BOSS GX-1 のアプローチ(1チップで効率重視)
- エントリー〜ミドルクラス向けのカスタムDSP(ローランド/BOSSの独自チップ)を1基搭載しています。
- 限られた演算性能の中で「絶対に音切れやバグを起こさない」よう、あらかじめ各エフェクトの負荷が厳格に管理されています。
- 計算量を抑えつつ実用的な音を作るため、アルゴリズム(計算式)をある程度簡略化しており、これが「いつものBOSSの音」という均一なトーンに繋がっています。
Helix Stadium XL Floor のアプローチ(超ハイパワー&複数コアで物量攻め)
- プロ仕様の超高性能DSP(SHARCチップ等の最新ファミリー)を複数、または超高クロックのマルチコアで搭載しています。
- GX-1の何倍〜何十倍もの計算を1秒間に行えるため、圧倒的な「物量計算」が可能です。後述する極めて複雑なシミュレーションを力技で並列処理しています。 [1]
2. 「何を計算しているか」のアルゴリズムの違い
チップのパワー差は、そのまま「モデリングの細かさ(解像度)」の差になります。
| 項目 |
BOSS GX-1(AIRD) |
Helix Stadium XL(Agoura) |
| モデリングの思想 |
アンプ全体の挙動・レスポンスを再現 |
パーツ1点ずつの電気的・物理的挙動を全て計算 |
| 主な計算対象 |
ピッキングに対する応答、真空管アンプの動的な特性(AIRD技術) |
真空管やトランスの個体差、シャーシ内の配線の静電容量、スピーカーとの相互作用など |
| 音の印象 |
どこを弾いても均一で、バンドで埋もれない安定感(BOSS特有のフィルター感) |
ギターボリュームを絞った時の倍音、ピッキングの細かなニュアンスがそのまま出る |
GX-1のAIRDも非常に優れた技術ですが、限られたパワーの中で「アンプらしい弾き心地」を効率よく再現する(=悪く言えば、美味しいところだけをデフォルメする)設計です。
対してHelix Stadiumの「Agouraモデリング」は、「回路の配線が持つ静電容量」まで実機通りに大真面目に計算しているため、デジタル臭さが消え、本物のアンプを鳴らした時のような生々しい空気感が生まれます。
3. オーディオ回路(AD/DAコンバーター)のパーツグレード
チップ(CPU)に入る手前と出た後の、アナログ・デジタル変換(AD/DA)を行うパーツのクオリティも音質を大きく左右します。
GX-1
AD変換 24bit / DA変換 32bit。独自のAF方式でノイズを抑えていますが、コストに見合った標準的なコンバーターです。
Helix Stadium
126dB以上の圧倒的なダイナミックレンジを誇る最高峰のAD/DA回路を搭載しています。ギターの微小な振動から、高出力なピックアップの入力まで、一切の情報を間引かずにチップへ送り込めるため、原音の解像度がハッキリと違います。
まとめると
- BOSS GX-1:計算量を抑えつつ、ライブやスタジオで確実に「使える音」を出す、高効率なプロセッシング。
- Helix Stadium:莫大なパワーのチップを使い、アンプのパーツや空気感まで力技でリアルタイム計算する、究極のリアル志向プロセッシング。
スタジオの大きな音量で鳴らした時ほど、この「情報量(解像度)の差」が耳や弾き心地に直感的な違いとして現れたのだと言えます。